
Offprint London 2024 Report
5 月に行われた Off Print London は、テートモダンで行われた。このアートブックフェアは、パリでも開催されているもので、各々パリフォトとロンドンフォトの時期に被らせたりしていることもあり、写真集に特化しているものも多い。ヨーロッパをベースとする日本でも販売されている、MACK や、逆にパリをベースにした日本のプレミアビンテージ写真集を販売する店舗からの出展、そして日本でまだ発表されていないような雑誌や、日本では特定の場所でしか見つけられないような出版社を見つけたので紹介したいと思う。
1993 年に設立した、イタリアでコンテンポラリー・アートに特化した初のブックストア「A+M ブックストア」の出版社。A&Mbookstore Edizioni, と、中国の写真家とヨーロッパの写真家の本を出版している VIAINDUSTRIAE のブース。A+M bookstore Edizioni から出版された Genda #4. The Violence of the State には Ecal の MA 写真学科のアーティストディレクターを勤めている。フェアではClément Lambelet の写真作品がセレクトされている。
Synchron Magazine
ベルリンのインディペンデントマガジンや zine などを発行する出版社。日本の NEO SHIBUYA TV の巨大スクリーンにて作品のコラボを行ったりしたこともある、フンボルト自由大学の日本語学科で学ぶシマさんが編集長だ。インスタグラムや、ベルリン界隈で気になったアーティストなど、国籍問わずに色々なアーティストやパフォーマーに声をかけるそうで、毎号異なるテーマを設けてセレクトをしている。同時にエッセイだけの出版も行い、読み物にフォーカスした出版物も制作している。
Ecal で本の制作ワークショップを行っている、本人も写真家であり編集者の Nicolas Poli がオーガナイズしているスイスの Ciao
Press も参加していた。「Ferox / The Forgotten Archives」 Nicolas Polli は、彼が写真家として発表している複雑なスチルライフの
写真とは異なり、この本は膨大な IEMS(国際火星周辺探査)という国連の研究機関研にまつわる究資料を含む作品集で、加えて
モノクロの写真が連なるが、実際には、このプロジェクトは物語から本に至るまで、著者一人によって創作されたフィクションだ。
Ecal の出版物が並ぶブース。加えて卒業生が出版した本も並ぶ。Ecal のオリジナルタイポの本や Ecal の写真学科が特化してここ数
年研究をしていた Automated Photography にまつわる本なども販売していて、写真学科が定期的に参加している。
アルルに位置する出版社で、異なる分野の本を出版している。個人的に気になったのは、アブラモビッチがイントロダクションを書いていた、「This Mortal House Building 1 Performance : Maria Stamenković Herranz」。トルコのパフォーマンスとインスタレーションのアーティストの作品だ。プレミア版にはアイマスクがついているユニークな仕様に。
2016 年から、アレイジャーナルはスタス・カラシニコフ、メロディ・ザグリ、E ダフネ・ムーケルジーによって委託・監督された独立系の雑誌とし、パリを拠点とし、KD プレスによって世界中に配布されるている。繊細なファッションフォトが多様されていて、単純に見ているだけで楽しくしてくれる。
パリを基軸としているインディペンデントのフェミニズム雑誌出版社だ。フランス語と英語の2カ国語編成になっており、様々な国のフェミニズム的な視点を取り入れたいと意欲的らしい。バックグラウンドに拘らず、様々な声を受け入れるクリエイティブな場で入り口が広いという、出版物のアドバンテージの力強さを感じた。基本的にはヨーロッパの出版社がメインとなっているブックフェアで、ヨーロッパで表現活動をしているヨーロッパのアーティストや、多くの人が知っていないアーティストを特集している小さな出版社を知る機会として、ロンドンにいく際にタイミングがあえば一度訪れてみてはどうだろう?
Offprint: Web
Reprot: Eriko Miyata