
Interview: ハイパー・ミニマリズムとモダンデザイン Bi-rite (Cat Snodgrass) の創造力の源
ニューヨークを拠点とするキャット・スノッドグラス(Cat Snodgrass)は、2015年にブルックリンで立ち上げたショップ・デザインスタジオのビー・ライト(Bi-Rite)の活動で知られるバイヤー・デザイナーです。その独自性のある表現やポストモダンとミニマルな家具や照明を中心とするキュレーションは、インスタグラムでの発信により国内外から注目されています。近年は自身の作品も制作しており、工業的な材料とミニマリズムに着目してデザインしたラグやプレートなどは、ブランド自体のユニークな活動の幅を広げています。
Bi-riteを始めたきっかけを教えて下さい。
2015年はまだデザインを学び始めたの若い世代の活動の場があまり多くありませんでした。ニューヨークでは当時、多くの家具屋であつかっているものは一定のライフスタイルのテンプレートに従っていたため、それとは全く異なる新しい事をしたいと思いました。
新しいアイデアを思いつく時のインスピレーションの源は何ですか?
アートと建築にとてもインスパイアされています。ニューヨーク市内をよく歩いて探索をし、目にするものすべてに注目するように意識しています。またできるだけ多くのアートに触れるようにしています。そういった面ではニューヨークはインスピレーションを得るのに理想的な場所です。
最近のデザインした作品について教えてください。
「Perforated Rug」というラグをデザインしました。他には番号がモチーフのお皿のシリーズや、塗装をつけたお皿を発表する予定です。また、現在プロトタイプ中の蛍光照明のシリーズの制作も進めています。
自身でデザインする作品と、Bi-riteで販売されているオブジェクトはどのようにお互いに影響し合っていますか?
私はBi-Riteのキュレーションを抑制の活用と考えています。これを「ハイパーミニマリズム」と呼ぶ人もいます。お店に置く物を選ぶ基準として、クラシックでアイコニックな感じがしつつも、最先端の品質を持つデザインに焦点を当てています。スタイルが古くならず、どんなインテリアにも対応できる汎用性のあるものに価値があると感じます。
日本のデザインやアートについてどう感じていますか?
今の日本をもっと知りたいので、実際に行って色々体験したいと思っています。来年旅行で行く計画もしています。歴史的にみても、20世紀の日本はあらゆる分野においてミニマリズムの思想家を数多く輩出しており、私にとっても大きなインスピレーションになっています。名前を挙げるときりがありませんが、内田繁/ Studio 80、安藤忠雄、倉俣史朗、佐藤オキ、三宅一生などをリスペクトしてます。
幅広く製品を取り扱っている中、それぞれの製品のビジュアルイメージを作られていますね。結果、そこがBi-Riteのユニークさの一つの要素だと感じます。このアプローチはどのようにして生まれ、どのようなプロセスがあるのでしょうか?
私たちのブランディングの一環として、Instagramで見せている物はある種削ぎ落としを意識した見せ方をしています。基本的にはスタイリングされたインテリアで撮影することはなく、むしろすべてのスタイリスティックな文脈を取り除きます。これは、物は特定のインテリアスタイルに合うものではなく、彫刻的な独立したデザインとして捉えることを促すためにしています。あらゆる文脈的な雑音を取り除き、デザインそのものを強調しており、それがBi-riteのクリエイティブディレクションの重要な要素になっています。
よく旅行をしますか?最近の旅行について、特にインスピレーションを受けたことを教えてください。
時間がある時には積極的に旅行をします。最近はミラノサローネのためにミラノに行きました。フェアだけでなく、街自体いつも訪れるたびに触発されます。Fondazione Pradaもその一つで、とても影響を受けています。自転車で移動し、できるだけ多くの建築を肌で感じられるようにします。建築は私にとって重要なインスピレーションの源です。
あなたの音楽の好み、最近よく聴いているアーティストについて教えていただけますか?
以前は音楽業界で働いていたので、好みとしてはかなり幅広いです。最近は90年代から2000年代のハウス、ダンス、ドラムンベースをよく聴いています。この辺りは私の作品のインスピレーションの源でもある反復、ミニマリズム、そして率直さとの相性も良いと感じます。
今後の展望や目標を教えていただけますか?
2024-2025年には、4つの新しいオリジナルアイテムの発売といくつかの新しいパートナーシップとの取り組みのローンチを控えています。Bi-riteはオンラインのプラットフォームとして成長を続けていますが、近い将来にフラッグシップ店を開くことを視野に入れています。
Bi-rite: Web / IG Cat Snodgrass: IG
Interviewer: Yusho Nishioka